60年余に及ぶ履歴の中には1960年代末〜70年代前半の活動が停滞した時期もありました。しかし1970年代後半以降は、年間8回程度の研究会及び年1回の大会の開催と、機関誌『関東近世史研究』の年2回刊行を続けています。また史料集『関東甲豆郷帳』、『関東近世史研究文献目録』1〜3集、『関東近世史研究論集』全3巻などの出版事業、シンポジウム開催などの研究発信へも精力的に取り組み、現在に至っています。
創立当初の本会は、北島正元初代会長が提唱した徳川幕府の関東領国体制論と伊藤好一第二代会長が取り組んだ江戸地回り経済圏論の、二つの研究課題を持っていました。これらは享保期関東における社会経済史的特徴の解明や、旗本知行、「領」、鷹場の研究など関東の領域編成研究へと展開しました。また日本近世史上における関東の特徴、意義、独自性の解明、また関東地域における民衆生活や社会意識の解明をめざしました。ここから武州世直し一揆研究や、江戸周辺地域・山間地域・漁村地域の研究などが生まれ、さらに宗教、文化、医療などの分野にも関心が及びました。2011年東日本大震災に際しては関東を基盤とする歴史研究団体として緊急特集を企画し、また関東近世災害史研究へ取り組むなど、関東という“場”、過去や現在の“時”を意識した活動を常に進めています。
本会は、関東はもちろん日本全国に会員がおられます。近年は月例研究会や大会のオンライン配信を行っており、遠隔地からの参加を可能としました。本会の日常的な運営は20〜30代の若い研究者で構成される常任委員会が担っています。若い研究者が常任委員会を運営する体制は、もはや伝統と言って良い本会創立当時からの特徴です。大学等の枠を超えて集まった委員による毎回の委員会は、さまざまな研究テーマや課題意識を議論し、相互に切磋琢磨する場となっています。若い研究者の方々は、ぜひ本会に入会し、広い視野からの刺激と研究力の向上を得られる常任委員会の議論へ御参加ください。また会員各位には、若い常任委員会を応援していただきたく存じます。
さて『関東近世史研究』も創刊100号が近づいてきました。これを一つのステップとすべく、常任委員会では新たな企画を検討中です。今後も会のよき伝統を生かしつつ、意欲的で斬新な研究活動の展開をめざします。多くのみなさまの入会をお願いするとともに、月例研究会や大会等への積極的な御参加を心からお待ち申し上げます。
2026年2月7日
関東近世史研究会 会長 白井哲哉

